ビュブロスのCORONA衛星写真(1968年3月21日撮影)。矢印で示しているのが,古代都市の遺構である。

すると領主〔ビュブロス侯チェケルバール〕はまた続けて言いました。「どんな用でやってきたのか。」私〔エジプトの使者ウェンアメン〕は答えました。「私は神々の王アメン・ラーの堂々たる大船のための木材を求めにきたのです。あなたの父上も(そう)してくれました。あなたの祖父も(そう)してくれました。あなたも(そう)して下さい。」(「ウェンアメン旅行記」,杉勇ほか訳『古代オリエント集』,筑摩書房)

ビュブロスは,紀元前二千年紀にエジプトの記録に現れるようになるが,主にレバノン山脈の木材の供給地として言及されている。「ウェンアメン旅行記」(紀元前11世紀)では,エジプトの使者ウェンアメンが木材を入手するため,ビュブロスの支配者と交渉している様子が描かれている。海に臨む高台に立地する古代のビュブロスは,青銅器時代初期には商業都市として栄え,その時代の城壁を見ることができる。古代の出土物が多く,都市遺跡内にある《オベリスク神殿》からは,多くの貴重な奉納物が発見された。


CORONA satellite photographs are available from U. S. Geological Survey, EROS Data Center, Sioux Falls, SD, USA.