テュロスのCORONA衛星写真(1967年6月17日撮影)。

ツロよ,お前は言った,わたしは美しさのきわみ,と。
お前の領土は海の真ん中,建築士らがお前の美しさを完成させた。
彼らはセニルの杜松をもって,お前の舷板すべてを造り,
レバノンから香柏を取って,お前の上に帆柱を造った‥‥
(『旧約聖書 エゼキエル書』27章:月本昭男訳,岩波書店刊)

今日,半島であるテュロス(スール:聖書ではツロ)は,古くは本土に近い沖合の島であった。海上交易を営み,上掲の旧約聖書所収の詩でも,その繁栄ぶりを謳われた。前332年,アレクサンドロス大王の東征の際,抵抗したため,大規模な攻囲戦となった。アレクサンドロスは,本土と島を結ぶ突堤を築かせ,テュロスを攻略したとされる。この突堤に沿岸流によって運ばれる砂がまとわりついて,陸続き(陸繋島)となったのであろう。陸繋砂州の上には,ヒッポドローム(戦車競技場)やモニュメント門のある大通りなどを含むローマ時代の《アル・バース》遺跡がある。


CORONA satellite photographs are available from U. S. Geological Survey, EROS Data Center, Sioux Falls, SD, USA.