京阪神大都市圏における社会経済的諸変数mapRaster2 分析・表示例

小方 登(京都大学名誉教授)


ここでは,大阪を中心として京都・神戸・奈良を含む京阪神大都市圏を例として,国土地理院数値地図(50mメッシュ標高)を編集して100mメッシュの標高データとし,これを用いて作成したサーフェスモデル(西南側,大阪湾上空からの俯瞰,高さは2倍に強調しています)上に,人口・産業の諸変数をドレープして表示した例を示します。人口データは1980年・2000年国勢調査,商業データは1994年商業統計の,それぞれ3次(1km)メッシュ統計のものです。


景観(衛星データ:LANDSAT 7号 ETM+:2000年8月25日撮影)

地形モデルに衛星画像をドレープし,一般的な景観を表しています。衛星画像は,宇宙航空開発研究機構(JAXA)受信,リモート・センシング技術センター(RESTEC)提供。画像をドレープする機能を付加した,mapRaster2の新バージョンは,近日中に公開予定です。

 

土地利用(データ:国土数値情報)

100mメッシュの土地利用データをを用いて,土地利用区分ごとに色で表示し,地域の概観を図示しています。この対象範囲の人口は,2000年国勢調査によれば,およそ1580万人です。

 

人口(データ:2000年国勢調査)

3次メッシュ(いわゆる1kmメッシュ ― 正確には1km四方ではない)あたりの人口は,おおよそ1平方キロメートルあたりの人口密度を表します。大阪市を中心とする地域,神戸と阪神間,京都などに人口密度の高い市街化が進んだ地域が見られます。

 

若年人口率(データ:2000年国勢調査)

全人口に占める14歳以下の人口の割合。大阪・京都・神戸の旧市街地で低く,郊外で高いことがわかります。近年では,福知山線の沿線,三田周辺などに若年人口率が高い地域が見られますが,少子化の一般的傾向を反映して,都市圏全体を概観して若年人口率は低いといえます。

 

若年人口率(データ:1980年国勢調査)

1980年調査時点における全人口に占める14歳以下の人口の割合。旧市街地を除く郊外で数値の高さが顕著で,発展しつつある大都市圏に一般的にみられる空間生態を反映しています。

 

小売業商店数(データ:2002年商業統計)

大阪都心部にある「キタ(梅田)」,「ミナミ(心斎橋・難波)」の繁華街,そして京都と神戸の都心部に集中していることがわかります。