京都盆地の景観mapRaster2 分析・表示例

小方 登(京都大学名誉教授)


ここでは,mapRaster2 のサーフェスモデル(鳥瞰図)表示機能を利用して,標高データの上に各種の画像や変数をドレープし,景観イメージとして作成しました。京都盆地全体についての国土地理院発行「数値地図50mメッシュ(標高)」と,京都市街の北東部 ― 京都大学周辺についての「数値地図5mメッシュ(標高)」を例として以下に示します。


衛星画像(LANDSAT 7号 ETM+:2000年8月25日撮影)

地形モデルに衛星画像をドレープし,京都盆地の一般的な景観を表しています。衛星画像は,宇宙航空開発研究機構(JAXA)受信,リモート・センシング技術センター(RESTEC)提供。画像をドレープする機能を付加した,mapRaster2の新バージョンは,近日中に公開予定です。


土地利用図

国土地理院が1980年代に作成,発行した2万5千分の1土地利用図を画像データとしてドレープしています。商業地域を濃い赤,住宅地域をピンク,工業地域を青などで色分けして示しています。データ・ソースは少し古いのですが,市街地の西方および南方に工業地域が多いことなどがわかります。


明治時代の京都

明治20年代に作成された,仮製地形図をドレープして表示しました(平地部のみ)。京都の市街地が現在よりもはるかに小さかったこと,伏見が宇治川に面した港町として半ば独立した都市であったことなどがわかります。伏見の南方には巨椋池という湖もありました。京都の市街地の西側,旧平安京の右京の部分は,市街地が失われたにもかかわらず,三条・四条大路など平安京の条坊街路の痕跡を読み取ることができます。


京都大学周辺

詳細な地形データ「数値地図(5mメッシュ標高)」を利用して,京都大学周辺の景観を描いてみました。1980年代に発行された土地利用図をドレープしています。平安神宮や銀閣寺もこの範囲に含まれます。


京都大学周辺の扇状地

標高データから鳥瞰図を描画する際に,高さを8倍に強調し,標高の値で色を付けて表示しました。東山から流れ出る白川や桜谷川の谷口部分から扇状地が広がっていることがわかります。吉田山の西麓から北北東に向かって断層が走っていることも判読できます。